セバスチャン・ゴルカ氏は、スティーブ・バノン元首席戦略官と共に7カ月間トランプ大統領の副補佐官を務めた。Ciraとのインタビューではホワイトハウス時代について、「ディープ・ステート」について、トランプのアメリカを再び偉大な国にする政策の未来について、そしてワシントンDCの「官僚的な沼地」について話を聞いた。
セバスチャン・ゴルカ氏との質疑応答:
サラ・カーター:あなたとスティーブ・バノン氏が去ったことでMAGA(アメリカを再び偉大な国に)政策が失われたと懸念している支持者がたくさんいます。それは本当でしょうか?
セバスチャン・ゴルカ:全くそんなことはない。心配する人が多いということは知っている。11月8日は革命的な政治の一コマだったと思っている支持者の人たちの多くだ。事実スティーブは辞めて、私も1週間後に辞任したが、いつも人には「リラックスしてくれ」と言っている。10数えて。深呼吸して。大統領の政策が成功するか否かは、私やスティーブがどこで仕事をするかによって決まるものではない。大統領の支持者はホワイトハウス内部にいなくてはならない個人だけにとどまるものではない。外部にいても良い。スティーブを批判する人々は分かっていない人が余りにも多く、そういう人は辞任したことを喜んでいるが、スティーブは今、これまでで最高に力を持っている。「スターウォーズ」の場面でベン(訳注:またはオビ=ワン)・ケノービがダースベイダーにやられる場面みたいなものだ。「私はおまえの想像を超える力を手に入れられるのだ。」スティーブ・バノンは今、アメリカのホワイトハウスの外では最も力を持った男だ。本気でそう言っている。なぜかと言えばできることが、合法的にできることがあるからだ。・・・ハフィントンポストは落ち着いてくれ。政府の職員としてはできないが一市民としてなら合法的にできることがあるということだ。
サラ・カーター:そうすると大統領に接近できるということ、それもあまり重要ではないと?
セバスチャン・ゴルカ:そうだ。
サラ・カーター:ではホワイトハウスの外にいる今、どうやって影響を与えるのでしょうか?
セバスチャン・ゴルカ:内輪での話し合いを完全にあきらめようというつもりはないが、例を挙げよう。私が大統領副補佐官だったとき、ホワイトハウスを出入りしてコーリー・レヴァンドフスキのような人たちと定期的に会い、大統領と一緒にデイブ・ボッシーとも会っていた。そのいずれも政府のIDカードを持っておらず、ホワイトハウスで働いてもいなかったが、確信を持って言えることは大統領とそこで一緒にいて天気の話をしていたわけではないということだ。大統領について知るべきことを一つ挙げるとすると、自分に忠実だった人物に対しては、大統領も非常に忠実だということだ。だから、大統領の信頼する人物が期せずして建物の中にいないからといって、そのような人を引き離すことができると考えるのはもちろんばかげたことだ。大統領は多くの様々な人と話をするがその中にはホワイトハウスで働いていない人もいる。だからリラックスしてくれ。
サラ・カーター:あなたの辞表のことを思い出します。
セバスチャン・ゴルカ:はい。
サラ・カーター:あなたは辞表の中で、ホワイトハウスの中では大統領のMAGA政策を支持しない有力者がいると書いていますね?説明してください。誰のことですか?
セバスチャン・ゴルカ:OK。まず第一に、11月8日は何がそれほど特別だったのかということを説明してみたいと思う。ジョン・ミリアスの「Red Dawn(邦題:若き勇者たち)」という80年代のすばらしい映画があったのを覚えているだろう。ソ連とキューバがアメリカに侵攻しアメリカの愛国者が立ち上がって抵抗するという話だ。アメリカ合衆国大統領は、11月8日、全エスタブリッシュメントに勝利した。彼はたまたま共和党候補者になっただけだった。沼地とは関係なかった。共和党とは関係なかった。彼が発表したとき真剣に受け止めた人は誰もいなかった。それから彼は何をしたか?16名のエスタブリッシュメントの共和党候補者を完全に叩きのめし、当然自分が手にすべきだと考える(大統領の)地位のために公式に7億ドルを費やした女に勝ったのだ。
これは全くの門外漢だ。11月8日に何が起きたのか?Red Dawnのウルヴァリンズ(訳注:劇中の愛国者ゲリラ部隊の名前)のようなもので、根性のある反乱軍の一団が「沼地」である強大な帝国を打ち負かした。結果として我々、スティーブ、私、大統領がホワイトハウスに移ったときというのは、現代の政治の歴史の中で最もハイレバレッジで敵対的な乗っ取りだった。なぜかといえば最大の政府を運営することになったのは小さなグループの人たちだったからだ。そこで当然起こるべきことが起こったのは当然のことだ。その間の数カ月でエスタブリッシュメントの人物たちはMAGA政策を代弁する「抗体」に反応し、我々を追い出して政策議題から除外しようとした。NSCの下位のメンバーがたくさんクビになった。その時点でスティーブは気づき、私もその後気づいたのだ。これはトランプ大統領の8年、それからペンス大統領の8年のことだ。長期戦を考える必要がある。
今、内部で弱体化させられているのであれば、やるべきことは外に出て外部から政策を支援するということだ。そういうわけで私はMAGA連合(Make America Great Again Coalition)の首席戦略官になった。スティーブが今行っていることもすべてそのためだ。だから近い将来、おそらくクリスマス前に、ホワイトハウスで非常に高位の人事刷新が大統領によって行われると予測している。(ロバート)モラーは別として・・・彼は過去の遺物だ気にするな・・・これまで8カ月に行われた高位の、あるいはそれ以下のレベルの解任は、大統領が決定したものではなかったということを知ることが重要だ。NSCから解任された者全員、(アンソニー)スカラムッチ、この人たちは大統領以外の人によって解任された。大統領は既に重大な問題について悪い助言を受けていることに気づいていると思う。アラバマ州の予備選挙がすべてを物語っている。そして大統領は今、方針に沿わない、本来の政策と関係のない人物たちを追い出すつもりだ。
サラ・カーター:その中には(レックス)ティラーソン国務長官も含まれていますか?
セバスチャン・ゴルカ:大統領は私が辞任した翌日に連絡してくれた。私の助言に感謝していた。大統領は政策を押し通すつもりだと語り、外部から支援して欲しいと言った。正に私が今やっていることだ。私がやらないと心に誓ったことの一つは、政策に沿わない閣僚メンバー個人を攻撃することだ。だから個人について話すつもりはないが、原則について話す。事実としてタッカー・カールソンはスティーブがホワイトハウスを出てからある番組を放送していたが、ホワイトハウスで本当に何が起きているのかを理解することが極めて重要だということだ。
タッカー・カールソンはスティーブ・バノンやブライトバートの大ファンではないと思うし、間違っているかもしれないが、非常に手厳しいことを言っていた。「スティーブ・バノンについてどう考えていようと、確かなことが一つある。ヒラリー・クリントンの下にいたならホワイトハウスでくつろぐことはないだろう」とカールソンは言っていた。ドナルド・J・トランプの政権には、ヒラリー・クリントンが大統領であったらホワイトハウスで気楽にしていられないような人だけでなく、ヒラリー・クリントンであったとしても閣僚になっていたであろう人もいる。それが現在の問題だが、もう一度言うけどリラックスしてくれ。それは一時的な状況だ。
サラ・カーター:するとあなたの意見では、大統領のまわりにはヒラリー・クリントンのホワイトハウスだったとしても満足してその政策を進めていたかもしれない人がいるということですか?
セバスチャン・ゴルカ:大統領はこう感じているし、自分のまわりにいる人物で誰が耐えず悪い助言を与えているか分かっていて、遅かれ早かれそのような人たちをまわりから追い出すことを決断することを私が請け合う。
サラ・カーター:「ディープ・ステート」について説明してください。
セバスチャン・ゴルカ:「ディープ・ステート」という言い方には少々違和感を覚える。陰謀論は好きだが、それはエンターテインメントとしてのものだ。「(陰謀)論」というのには理由がある。陰謀論は批判的な考えを台無しにしてしまう。私は「ザ・ディープ・ステート(訳注:国家というより(変わらない)状態というニュアンスではないかと推測する。文脈上は官僚と言い換えても良いかもしれない)」という言い方のほうが好きだ。ザ・ディープ・ステートは陰謀論ではない。本当のことだ。例を挙げよう。私はNSCの仕事をしておらず、スティーブの下で仕事をしていた。私はホワイトハウスの戦略担当官であり、大統領の首席戦略官であった。しかし、国家安全保障に携わってきた経歴を持っていたために、あらゆる問題についてNSCとの機密の定例会議に参加していた。カタール危機、ISIS計画、など何でもだ。
そしてこういった会議で形成されるパターンというのは本当に憂慮すべきものであり、永久に変わらない状態の説明がつく。世界で最も強力な国の政策決定の頂点であるホワイトハウスの会議に出席しているのだ。大統領と国家安全保障補佐官を除いては、それ以上のものはいない。NSCの主要メンバー、CIA、DIAのゲスト、ペンタゴンの支所などあらゆる人と一緒に1時間、1時間半、共に出席する。重大事項についての90分の間、大統領の名前を聞くことはない。大統領の戦略的な目的が語られることはないし、大統領がワルシャワやリヤドで言ったことが語られることはない。
そして、90分経った後で次のように言うのは、このおかしなアクセントの男、私の責任だ。「大統領が昨日リヤドでISISについて語られたことを聞きましたか?大統領がワルシャワでNATOについて語られたことを聞きましたか?」大統領が達成したいと思っているのはこういうことであって、我々は全員その方針に沿っているよね?、と。私が分かったことは沼地というのは議会のことではないということだ。沼地とは議員のような政治家クラスのことだと考えている人が多い。沼地とはそれ以上のものだ。この国を動かすためにアメリカ国民が選挙で選んだ大統領より自分たちのほうがもっと分かっていると確信している官僚クラスのことだ。国務省に努めてきたGS14、GS15、また20年間CIAにいる人物。それが「自分は長い間この仕事をやってきた。大統領がカタールについて言うことなど構わない。これをやる必要がある。大統領がX、Y、Zと言っても気にしないでこれをやる必要がある」と考えている。それがアメリカの民主主義を損なっており、それがずっと変わらない状態なのであり、それがアメリカで民主主義を実らせようとするなら退けるべきことなのだ。