国務省が安全でない通信を使用して機密情報をやりとりしていたことが判明した。これは監視団体のジューディシャル・ウォッチによる最新の報告で明らかになったものだ。また、クリントン財団に献金した人物が、当時の国務長官であったヒラリー・クリントンのスタッフから特別待遇を受けていたことも分かった。
2015年5月15日の情報公開請求の結果、国務省から1,606ページの文書がジューディシャル・ウォッチに送られていたが、8月2日にその文書と合わせて報告書が発表された。フーマ・アベディンは当時、クリントンの副補佐官であったが、その文書にはアベディンの個人アカウントから安全対策なしに送られたメールが含まれていた。
そのメールの中で、クリントンとスタッフは、ベネズエラのウゴ・チャベス大統領と北朝鮮の金正日総書記を訪問することに興味を示していたことが分かった。
文書ではクリントンによる91のメールのやりとりが示された。これまで国務省に引き渡されていなかったものだ。クリントンは国務省の職務を行うために安全でない個人のアカウントを使用していたが、昨年その中から5,500ページ以上のメールを当局に引き渡していた。クリントンは、「自分の知る限り、政府に関連するメールはすべて国務省に引き渡した」と主張していた。
ジューディシャル・ウォッチが報告した最新情報によれば、クリントンは少なくとも530通のメールを国務省に引き渡していなかったことがこれまでに分かっている。
2009年にクリントンが献金者に便宜を図った一つの例が以下のものだ。
2009年4月12日、ミゲル・ロウセルというプエリトリコの通信会社役員はクリントン大統領図書館に100万ドルの献金をしており、クリントン・グローバル・イニシアティブのメンバーだとされていた。ロウセルは、クリントン財団役員のダグ・バンドを通じて、ある人物をドミニカ共和国のアメリカ大使に任命するようにアベディンに依頼していた。
クリントンとスタッフが交わした2通のメールはこれまで公開されていなかったもので、クリントンがホテルへの宿泊について非常に細かく指示していたことが、ジューディシャル・ウォッチの報告書で明らかになった。
2011年11月14日、アベディンはクリントンに「あなたはシェラトンみたいなひどいところに泊まらなければなりませんよ」と告げ、オバマ大統領もそこに止まる予定だと伝えた。そして別のホテルでも良いか尋ねている。クリントンはそれに対して、「大統領と同じホテルに泊まらないのは難しいだろうから、そこで最高の選択肢を見つけくれ」と答えている。
2011年11月30日、アベディンはクリントンに、ミャンマーで「二流のホテル」に泊まる必要があり、その理由は「一流ホテルのオーナーに問題がある」というものだった。「二流のホテル」の部屋は、スイートで「隣にもっと多くの人が宿泊できるだけの部屋」があるとしていた。
スタッフとのメールのやり取りの中で、クリントンは写真撮影のことで憤慨していた。シェリル・ミルズとビル・バーンズが写真撮影に参加できないと多様性がなくなってしまうというのだ。
2010年2月26日、クリントンは、ミルズとビル・バーンズがいないことを指摘して、アベディンにその日の撮影で「肝心なこと」は「チームに多様性があることをあらゆる手を尽くして示すことであり、それができないということに不安を感じる」と述べている。
クリントンが2016年の大統領選挙で非難を浴びたのは、国務長官時代に個人のサーバーで機密情報のやり取りをしていたことが理由だった。